千葉で激増するキョン駆除の真相|なぜ捕獲難航?報奨金と2026年最新動向
害獣として駆除対象となっているキョンですが、食肉としての評価は驚くほど高く、「ジビエ界屈指の最高級食材」として知られています。原産地の台湾や中国では「炒鹿肉」として珍重される高級宮廷料理の伝統食材であり、その肉質は一般的なニホンジカやイノシシとは一線を画します。
肉の特徴を一言で表せば、「極めて柔らかく、臭みが皆無の極上赤身肉」です。脂身が少なく高タンパク・低カロリーでありながら、筋繊維が極めてきめ細かく、加熱してもパサつきません。仔羊肉(ラム)のようなしっとりとした舌触りと、牛肉のヒレ肉に近い上品な甘みとうま味を備えており、都内の高級フレンチや中華レストランではジビエ通を唸らせる希少食材として高値で取引されています。
さらに肉だけでなく、皮の価値も突出しています。キョンの皮から作られる「キョンセーム(セーム革)」は、繊維の極細さが人工繊維を遥かに凌駕し、高級バイオリンなどの弦楽器手入れ、カメラレンズ用クロス、さらには最高級洗顔クロスとして極めて高額で流通しています。
ただし、産業化には大きなハードルが立ちはだかります。キョンは1頭から取れる可食部が数キロ程度と非常に少なく、処理施設への輸送コストや解体にかかる人件費を回収しにくい点が最大のネックです。現在、千葉県内ではジビエ専用の移動式解体処理車(モバイル屠畜車)の導入や、捕獲現場と加工所を結ぶコールドチェーンの構築など、未利用資源を地域経済に還元する仕組みづくりが模索されています。