天才・江口寿史の現在と白いワニの真相!ひばりくん休載から再評価まで
破天荒な奇行や逃亡エピソードばかりが先行しがちな江口寿史ですが、その制作環境を語る上で欠かせないのが、1990年に結婚した妻の水谷麻里の存在です。80年代に清純派アイドルとして絶大な人気を博していた水谷は、結婚を機に芸能界を完全に引退し、江口の家庭を支える道を選びました。
芸能記者の当時の証言や近年の関係者の話を総合すると、二人の生活は決して波風のない平坦な道ばかりではありませんでした。連載を抱えないフリーのイラストレーターとしての不安定な収入期や、締切前の精神的重圧に苛まれる夫の姿を、彼女は常に泰然自若とした態度で受け止め続けてきたと伝えられています。
夫婦関係や家族社会学の観点から見ると、表現活動に没頭するクリエイターは、しばしば「自己の美的こだわり」と「現実生活の破綻」の境界線を見失いがちです。躁鬱的な制作リズムに振り回される家庭において、妻が芸能界に未練を残さず完全に一線を引いたことは、家庭内に健全な心理的バウンダリー(境界線)を構築することに繋がりました。彼女の徹底したプライベートの死守と生活の安定があったからこそ、江口は制作意欲の波に溺れ切ることなく、長いスランプを抜けて現代の充実した創作サイクルへ軟着陸することができたと言えます。