大音量の目覚ましに気づかないのはなぜ?起きられない病気と科学的解決策
朝すっきりと覚醒するためには、体内時計と生体システムが緻密に連動していなければなりません。しかし、現代人の生活環境にはこの連動を狂わせるトラップが無数に存在します。
第一に挙げられるのが、レム睡眠とノンレム睡眠の周期の崩壊です。本来、睡眠は約90分周期で浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠を繰り返しながら、明け方に向けて徐々にレム睡眠の割合を増やしていきます。浅い眠りのタイミングでアラームが鳴れば、比較的容易に覚醒へと移行できます。しかし、就寝直前までのスマートフォン利用によるブルーライト曝露やアルコール摂取があると、このリズムが破壊され、起床予定時刻になっても脳が深いノンレム睡眠の底に沈んだまま固定されてしまいます。
第二の要因は、自律神経の乱れと朝の目覚めの密接な関係です。ヒトの身体は、覚醒に向けて副交感神経優位から交感神経優位へと切り替わり、副腎皮質から抗ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌させて血圧と体温を上昇させます。ところが自律神経が乱れていると、この切り替えスイッチが機能せず、心拍数や体温が上がらないまま「身体が眠り、意識だけが朦朧とする」状態に陥ります。
第三に、聴覚の慣れとアラーム音の生理的関係です。人間には同じ刺激が反復されると反応が薄れる「馴化(ハビチュエーション)」という性質があります。何週間も同じアラーム音を聞き続けていると、脳はその音を「生命に危険を及ぼさない日常音」として分類し、覚醒トリガーから除外してしまいます。音量をどれほど上げても、耳がそのパターンを学習していれば、覚醒への効果は失われていきます。