時代の光を捉える写真家・大野隼男|藤井風のグラフィックからソニーΑ9 Iiiの極致まで
大野隼男の名を広く知らしめた決定的な出来事の一つが、シンガーソングライター・藤井風とのタッグである。
2020年にリリースされ、日本音楽史にその名を刻んだファーストアルバム『HELP EVER HURT NEVER』。あの強い眼差しと静謐な空気が同居するジャケット写真は、大野のレンズによって捉えられた。アーティストが放つ圧倒的な才能と生々しい肉体性、そして内面から滲み出る情熱。大野は余分な装飾を削ぎ落とし、ライティングの強弱と構図の絶妙なバランスによって、一目で忘れられない強度を持つアートワークへと昇華させた。
『青春病』に見る哀愁と色彩のシンフォニー
続くシングル『青春病』でも、大野の色彩表現が冴え渡った。青みがかった静けさと夕景の熱量が交差するような独特のカラーメイキングは、楽曲が持つ切なさと駆け抜けるような躍動感を過不足なく表現している。音楽のフレーズを視覚へと翻訳する能力において、大野隼男の右に出る者は少ない。