「治安が悪い」の本来の意味とSnsでの意外な使い方を徹底解説
このような言葉の意味の変化について、言語学や国語調査の専門家はどのように捉えているのだろうか。
国語学者である金田一秀穂氏は、日本語における「意味の転移」や「若者言葉による感情の強調」についてたびたび言及している。本来はネガティブな概念を持つ言葉(「やばい」「むかつく」「えぐい」など)が、感嘆や肯定のニュアンスに転じるのは日本語の歴史において珍しいことではない。「治安が悪い」もまた、形式的な規範から離れ、若者の鋭い感性によって「刺激的で魅力的」という独特のニュアンスを獲得した典型例である。
文化庁が毎年実施している「国語に関する世論調査」でも、本来の意味とは異なる用法が定着していくプロセスの興味深いデータが示されている。言葉は固定されたものではなく、社会の空気感や世代ごとのコミュニケーション手法によって柔軟に姿を変える生き物なのだ。