月化粧と博多通りもんの違い!パクリ疑惑の真相と食べ比べの結論
外見もコンセプトも酷似していることから、ネット上で囁かれ続ける月化粧と通りもんのパクリ疑惑の真相。なぜここまで類似した商品が大阪と福岡でそれぞれ定着したのでしょうか。業界の構造に詳しいフードビジネスアナリストの見解や製菓史を辿ると、通りもんと月化粧が似てる理由は単一企業の模倣ではなく、日本の和菓子製造における機械工学のブレイクスルーに端を発していることが分かります。
その鍵を握るのが、栃木県宇都宮市に本社を置く食品機械の世界的パイオニア「レオン自動機」が開発した自動包餡機(ほうあんき)の進化です。従来の和菓子製法において、油脂や乳製品を大量に含んだ柔らかいペースト状の餡を、極めて薄い生地で均一に包み込む作業は職人の手作業でも至難の業でした。しかし1990年代初頭、水分量と油分の高い生地を高精度で包み込む技術が実用化され、明月堂はこれを用い、白餡にバターと練乳を練り込んだ「博多通りもん」を完成させました。これが全国に広がるみるく饅頭発祥の経緯における記念碑的転換点となります。
博多通りもんの空前絶後の成功を見た全国の菓子メーカーは、こぞって「乳脂肪分を融合させた新世代の和洋折衷饅頭」の開発に乗り出しました。福島県の「ままどおる」のような前哨戦となる焼き菓子は存在したものの、しっとりとした薄皮で白餡を包むスタイルは瞬く間に全国へ波及。宮崎の「日向夏ミルク」、北海道の各種ミルク饅頭など、日本各地にご当地みるく饅頭が続々と登場しました。
青木松風庵の「月化粧」も、市場のトレンドや消費者嗜好の変遷を緻密にリサーチしたうえで、3年以上の歳月と数百回に及ぶ試作を繰り返して誕生した製品です。商標権や意匠権の侵害といった法的な問題は一切なく、中華圏における「月餅」や全国の「温泉まんじゅう」と同様に、製菓技術の標準化に伴って成立した「みるく饅頭という確立されたカテゴリー」における最高峰の競作というのが業界内の共通認識です。