タンス貯金の実態と税務リスク|新紙幣以後に国税が注視する盲点の全貌
金融広報中央委員会や日本銀行の資金循環統計を基にした推計によると、家計が保有する現金のうち、決済用ではなく退蔵されている現金は依然として約60兆円前後にのぼるとみられています。マイナス金利解除後も預金金利の上昇幅が限定的であったことや、高齢層を中心とする現金決済への根強い愛着が背景にあります。
その一方で、国税庁の資産把握能力はデジタル技術の進展によって飛躍的に向上しています。税務署が活用する「KSK(国税総合管理)システム」には、個人の過去数十年にわたる確定申告データ、給与・不動産売買・有価証券取引の調書、さらにはマイナンバーに紐づく金融資産情報が集約されています。預金口座から引き出された現金の使途が不明な場合、国税当局のアルゴリズムは自動的に「タンス貯金の疑い」としてフラグを立てる仕組みが整っています。
関係者への取材によると、特に相続税の税務調査において、被相続人の過去10年以上にわたる口座履歴から「正当な支出の説明がつかない多額の出金」を追及されるケースが頻発しています。現金という形に変えたとしても、出所と引き出し履歴が存在する以上、税務当局の目をごまかすことは構造的に不可能です。