うろ覚えの意味と心理学|曖昧な記憶が起こる決定的な理由
記憶が曖昧になる原因は、心理学の古典的モデルである「符号化・貯蔵・想起」の3段階のどこかで情報が損なわれることにあります。符号化の段階で注意が散漫であれば、そもそも記憶として刻まれません。貯蔵の段階では、時間経過とともに想起の手がかりが失われる「減衰説」と、類似した情報同士が干渉し合う「干渉説」が主要な説明です。想起の段階では、感情や文脈が合わないと適切な手がかりが得られず、結果として「うろ覚え」の状態が生じます。
さらに近年の脳科学研究では、記憶は固定されたファイルではなく、想起のたびに再構築される動的なプロセスであることが確認されています。この再構築の過程で、実際には経験していない情報が混入したり、細部が書き換えられたりします。いわゆる「記憶の書き換え」現象です。したがって、うろ覚えは脳の欠陥ではなく、過去の情報を現在の文脈に適応させるための、ある意味で合理的な機能だと考えられています。