【2026年現地ルポ】「通過される新幹線駅」から脱却した新尾道駅、しまなみ観光の再定義とモビリティの逆襲
大都市の巨大ターミナル駅のように、駅構内に巨大なショッピングモール(駅ナカ)を作る資金もスペースも新尾道駅にはない。だが、尾道市が採った戦略はその正反対だった。「駅ナカを作らないことで、訪れた人を一刻も早く街の商店街や飲食店へ送り出す」という逆転の発想だ。
駅前のデジタル案内版には、尾道本通り商店街や海岸通りのリアルタイムな空席情報、各店の仕入れ状況が刻々と表示される。さらに、新尾道駅発の利用者限定で使えるデジタル地域通貨「オノミチコイン」の発行により、駅を降りた瞬間に地元店舗への送客が始まる仕組みを構築した。かつて「駅前が寂しい」と言われた空間が、今や街全体の経済を動かす情報ハブとして機能している。