真犯人フラグ考察と黒幕予想の全真相|Twitterを沸かせた伏線回収
本作を振り返る上で避けて通れないのが、視聴者が抱いた「強烈な思い込み」と、制作陣が仕掛けた「逆心理の罠」です。放送当時、ネット上では「凌介=多重人格説」「凌介犯人説」が極めて根強く叫ばれていました。小説を書くのが趣味という設定や、不自然な記憶の欠落、お人好しすぎる性格の裏に潜む狂気など、あらゆる描写が「主人公黒幕説」の補強材料として消費されたのです。
しかし、これは制作陣による計算し尽くされたミスリードでした。秋元康氏が企画・原案を手がける作品群において多用される「無罪の善人に怪しい影を落とすカメラワークや演出」に対し、ネット考察班は過剰に反応してしまいました。人間は一度「こいつが怪しい」という仮説を立てると、あらゆる無関係な言動をその仮説を補強する証拠として解釈してしまう傾向があります。これこそが、ネット社会で頻発する陰謀論の縮図でした。
また、「日野犯人説」が最終盤までネットを支配した背景には、ドラマファンのメタ的視点(いわゆる「俳優のキャスティング論」)による誤導がありました。過去の名作ドラマで裏切り者を演じて話題をさらった役者が配置されていたため、「この俳優がただの良い奴で終わるはずがない」というバイアスが、作中の客観的な事実関係を上書きしてしまったのです。結果として日野は、最初から最後まで親友思いの不器用な男であり続け、視聴者は自分たちの深読みによって勝手に騙されるという皮肉な結末を迎えました。