熊は人を食べるのか?野生動物生態学と最新データが明かす真実
日本史上最悪の獣害事件として数知られる1915年の「三毛別羆事件」は、クマがひとたび人間を食物と認識した際の恐ろしさを今に伝える戦慄の記録だ。1頭の巨大なヒグマが開拓村を襲い、7名の命が奪われたこの悲劇では、クマが一度口にした人間の肉や遺体に執着し、何度も村に引き返して襲撃を繰り返すという行動が克明に記録されている。
動物の死体を隠して保存する「執着性」は、クマ特有の本能である。三毛別羆事件の記録は、クマにとって人間が「特別な存在」ではなく、ひとたび防衛線を突破されれば単なる「容易に狩れる肉」として処理されるという冷徹な真実を、100年以上前から証明していたのだ。