205系メルヘン顔の現在地とは?富士山麓で輝く名車の全貌を追う
時計の針を1980年代末へと巻き戻す。日本国有鉄道(国鉄)が昭和の終焉とともに分割民営化され、新たに発足した東日本旅客鉄道(JR東日本)は、自社のブランドイメージを決定づける象徴的なプロジェクトを抱えていた。それが京葉線の新木場〜東京間延伸開業である。
単なる通勤路線ではない。世界的なテーマパークへのアクセスルートという特別な使命を帯びた路線に、従来通りの銀色四角い通勤電車を走らせてよいものか。開発陣が下した決断は、大胆なフロントデザインの刷新だった。そこで白羽の矢が立ったのが、日本国有鉄道(国鉄)末期に誕生し、省エネ性能と軽量ステンレス車体で高い完成度を誇っていた国鉄205系電車だった。
川崎重工業や日本車輌製造といった名門メーカー各社が腕を振るい、徹底的な鉄道車両デザインの見直しが図られた。通勤車両としての経済性とメンテナンス性を完璧に保ちながら、見る者に「非日常への高揚感」を抱かせるデザインを追求する。その情熱が、のちに伝説となる新たなマスクを生み出す原動力となった。