一口で虜になる滋味深さ!芋がら味噌汁を極上に仕上げるプロの技
芋がらそのものには強い主張がない。だからこそ、合わせる出汁と脂の設計が仕上がりのすべてを左右する。割烹や料亭が芋がらを扱う際、最も重宝するのが「良質な油分とのマリアージュ」だ。
下茹でして水気を絞った芋がらを、そのまま出汁に投入するのはもったいない。鍋に出汁を張る前に、少量の純正ごま油や菜種油を引き、食べやすい長さに切った芋がらを軽く中火で炒める。油の膜が繊維の一本一本をコーティングし、煮崩れを防ぎながらコクを劇的に底上げする。豚肉の薄切りや良質な油揚げを数切れ合わせるだけでも、動物性・植物性の脂が溶け合い、驚くほど重厚なスープへと進化する。
出汁は昆布と鰹節の合わせ出汁が王道だが、いりこ(煮干し)を効かせた力強い出汁も芋がらの力強さと見事に調和する。味噌を溶くタイミングは必ず火を止める直前。沸騰させて香りを飛ばしてはならない。出来上がった味噌汁を一度粗熱が取れるまで休ませると、冷めていく過程で芋がらの内部へ出汁と味噌の旨味が均一に浸透し、翌朝温め直した一杯は思わず唸るほどの完成度に達する。