無限城三部作の熱狂の中で振り返る――『鬼滅の刃』生存と絶望の系譜、全滅の歴史をたどる
なぜ私たちは、人を喰らう残虐な鬼たちにこれほど魅了されるのだろうか。その理由は、彼らの悪行が肯定されることは決してないものの、彼らが悪に染まるプロセスに「もし自分だったら」という共感を抱かせるからだ。貧困、病気、差別、孤独。彼らが直面した問題は、現代社会を生きる私たちにとっても決して他人事ではない。
炭治郎が倒した鬼たちの体にそっと手を当て、彼らの魂が救われることを祈るシーンが象徴的だ。鬼殺隊の面々もまた、彼らが「悲しい生き物」であることを知っている。この絶対的な勧善懲悪ではない、グラデーションのある人間ドラマこそが、本作を不朽の名作たらしめている。