力士のベンチプレス最高記録は?200Kg超えの真相と怪力の実態
ジムトレーニングが普及した現代でも、あえてベンチプレスを徹底して避ける親方や力士は少なくありません。そこには相撲特有の「身体操作」と「怪我防止」に関する明確な理由が存在します。
第一の理由は、肩甲骨の可動域と柔軟性の確保です。ベンチプレスで大胸筋を過度に肥大させると、肩が前に入り込み(巻き肩)、肩甲骨の柔軟な動きが妨げられる恐れがあります。相撲の基本である「まわしを引く」「相手の懐に飛び込む」「腕を柔軟に使っていなす」といった動作において、胸周りの筋肉の硬さは命取りになります。
第二の理由は、力の伝え方の違いです。ベンチプレスはベンチ台に背中を固定して腕と胸で押す運動ですが、相撲の「突っ張り」や「押し」は足の裏から地面の反力を受け、股関節、体幹、背中、そして腕へと連動させて放つ全身運動です。ベンチプレスばかりを強化すると、上半身だけの力で押そうとする悪癖がつき、土俵際で足が流れてしまう原因になります。