伝統玩具「鯛車」の秘められた歴史と最新復元劇が明かす意外な真実
昭和の日本全国を歩き尽くした高名な民俗学者、宮本常一もまた、旅の途上でこの地に残る風俗に深い関心を寄せていた。彼が残した膨大なフィールドワークの記録には、地域の人々が総出で盆の夜を彩り、共同体の絆を確かめ合う道具として玩具を機能させていた様子が鮮明に描かれている。
学問としての民俗学が光を当てたのは、豪華絢爛な神社仏閣の祭礼だけではない。名もなき職人が削り出した木輪の軋みや、子供たちが口ずさむ歌にこそ、日本の精神風土の真髄が宿っていた。宮本が見出したその価値は、半世紀以上の時を超えてなお失われていない。