ケサランパサランの正体は植物か妖怪か?幸運を呼ぶ伝説の全真相
「空から降ってくる不思議な毛玉」として親しまれるケサランパサランですが、生物学者や植物学者による標本鑑定の結果、自然界に存在する特定の動植物や自然現象が集約されたものであることが判明しています。現在、科学界および博物館の調査で定説となっているのは主に以下の3つの正体です。
第1の有力候補は植物の綿毛(種子毛)です。特にキョウチクトウ科の蔓性植物であるガガイモ(蘿藦)の種子は、秋から初冬にかけて長さ約10センチメートルほどの袋状の果実が裂け、中から銀白色の長い絹糸状の冠毛を持った種子が一斉に飛び出します。このガガイモの綿毛が風によって丸く絡まり合った姿は、手のひらに収まる球状の毛玉そのものであり、中心部に硬い芯(種子)が存在する点も民間伝承の特徴と完全に一致します。また、大型のアザミ(フジアザミなど)の綿毛が強風で密集して球形になったものも、各地でケサランパサランとして同定されています。
第2の候補は動物の毛玉および猛禽類のペリットです。フクロウやトビなどの猛禽類は、ネズミやウサギ、小鳥などの小動物を丸呑みした後、消化できない骨や体毛を胃の中で圧縮し、口から塊として吐き出します。これを「ペリット」と呼びます。野外で風雨に晒されて骨が脱落し、純粋な白毛や灰色の毛のみが繊維状に絡み合って乾燥すると、極めて軽量でふわふわとした球体が完成します。山林や神社の境内で発見される「動物由来の個体」は、この猛禽類の捕食痕であるケースが目立ちます。
第3の候補として挙げられるのが昆虫(ワタムシ・雪虫)の集合体です。アブラムシの仲間であるトドノネオオワタムシやタマワタムシ類は、外敵から身を守るために体内から白いロウ物質(分泌物)を放出し、綿をまとったような姿で空中を浮遊します。晩秋の北日本などで大量発生する姿は「雪虫」として知られますが、これらがクモの巣や樹液などに密集して塊となったものが、浮遊性の毛玉として認識された記録も残されています。