顎がない横顔の治し方|太っていないのに下顎が後退する原因と改善策
ネットの動画サイトや美容記事では、「1日数分のマッサージで顎を出す」「割り箸をくわえてEラインを作る」といった顎がない横顔を自力で治す方法が数多く発信されている。これらは本当に効果があるのだろうか。結論から言えば、骨そのものの位置や長さを自力で変えることは解剖学的に不可能だが、「筋肉のたるみ」や「骨格の傾き」に起因する見かけ上の後退であれば、セルフケアによる一定の改善が見込める。
特に注視すべきは、二重顎とストレートネックの関係だ。長時間のスマートフォン操作やデスクワークにより、首が前方に突き出る「スマホ首(ストレートネック)」になると、下顎と胸骨・鎖骨をつなぐ「舌骨筋群(ぜっこつきんぐん)」が過剰に引っ張られ、常に下垂する。舌骨が下がることで顎下の皮膚や脂肪が緩み、顎と首の境界線が消失して「太っていないのに二重顎」という状態が物理的に作り出される。この場合、胸椎を伸ばし頭部を背骨の真上に戻す姿勢矯正を行うだけで、埋もれていたフェイスラインが劇的に復活するケースは珍しくない。
また、近年世界的に注目されている「ミューイング(正しい舌の吸着トレーニング)」も、軟部組織の引き締めには有効だ。舌先だけでなく舌の奥3分の2を上顎に吸い付け、奥歯を軽く離して鼻呼吸を徹底する習慣をつけることで、顎下筋群のトーンが回復し、たるんでいたフェイスラインがシャープに引き締まる。ただし、成長期を過ぎた大人の骨格に対して、ミューイングだけで後退した下顎骨をミリ単位で前方移動させることはできない。自力ケアで変えられるのは「姿勢と筋肉の張り」であり、「骨の位置と噛み合わせ」は医療の領域であることを冷徹に認識しておく必要がある。