尼崎連続変死事件の深層に迫る 角田美代子と崩壊した家族の全記録
この事件の本質を語る上で避けて通れないのが、主犯・角田美代子による異常な人心掌握術である。彼女の手口は、常に些細な日常のトラブルから始まった。電車のベビーカー挟み込みトラブルや親族間の葬儀をめぐる小競り合いなど、どこにでもある綻びに強引に割り込み、被害者側の「落ち度」を徹底的に糾弾する。相手が罪悪感と恐怖で思考停止に陥った瞬間を見逃さず、私生活の奥深くまで入り込んでいった。
角田の手法は極めて狡猾だった。標的とした家族を自宅マンションに監禁状態に置き、激しい睡眠不足と過酷な身体的苦痛を与え続けることで正常な判断力を奪う。さらに、家族の中に「優遇される者」と「制裁を受ける者」を意図的に作り出し、被害者同士に暴力を振るわせるシステムを構築した。血を分けた親子や兄弟が生き残りのために互いを告発し、殴打する地獄絵図。角田自身が直接手を下すことなく、家族自身の暴力によって家族を解体させていく冷徹なマインドコントロールが、完全な支配を完成させたのである。