愚将か軍神か?乃木希典の生涯と旅順攻囲戦に隠された衝撃の真実
乃木希典の多面的な姿は、数々の映像作品を通じて大衆に消費され、その都度再解釈されてきた。日本の映像エンターテインメント界において、旅順攻囲戦ほど繰り返し描かれてきたテーマは他にない。
1980年の大ヒット映画『二百三高地』では、丹波哲郎演じる乃木が苦悩に苛まれながらも重責を背負い続ける姿が描かれ、国家の歯車となった個人の葛藤が観客の涙を誘った。一方、司馬原作を映像化した大型スペシャルドラマ『坂の上の雲』では、柄本明が演じる乃木の茫洋とした佇まいが、近代化に喘ぐ組織の歪みを象徴的に提示した。
時代世相によって「高潔な名将」から「哀愁の老将」、そして「組織の犠牲者」へと、描かれる乃木像は変遷を遂げてきた。名作群を比較して観る行為そのものが、戦後日本人が日露戦争という歴史的体験をどう消化しようとしてきたかを辿る旅でもある。