イルカを国民的歌手へ導いた神部和夫の音楽革命となごり雪の真実

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『なごり雪』に続いてスマッシュヒットとなった『海岸通』もまた、神部和夫の美意識が遺憾なく発揮された傑作だ。これも伊勢正三の作詞・作曲によるナンバーだが、神部が施したサウンドアプローチは、当時のアコースティックミュージックの水準を遥かに凌駕していた。

港町の切ない別れを描いた歌詞の世界を際立たせるため、神部は楽器の残響音や録音テープの質感にまで徹底的に介入した。派手なエフェクトに頼るのではなく、引き算の美学によってアコースティックギターの生々しいタッチと繊細なピアノのアルペジオを配置していく。このスタジオワークの積み重ねが、後のニューミュージックと呼ばれる一大潮流の音響的基盤を形作っていった。

単なるフォークソングの枠に収まらないモダンな響きは、半世紀近くが経過した現代の耳で聴いても驚くほど立体的で、一切の古さを感じさせない。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。