真冬の人里を徘徊する異変、冬眠しないクマの衝撃実態と防衛策
激増する冬期出没に対し、行政の対応も大転換を迫られている。環境省はクマ類を国の管理支援対象とし、各自治体は指定管理鳥獣捕獲等事業を活用して捕獲体制の強化や専門人材の育成に乗り出した。国からの財政支援を受け、冬期であっても危険個体の迅速な駆除やゾーニング管理を推進する法的枠組みが整えられつつある。
しかし、制度が整っても現場の足元は脆い。日本クマネットワーク(JBN)などの専門家グループが繰り返し指摘するように、最前線を担う猟友会の高齢化と後継者不足は危機的な水準に達している。豪雪地帯での銃器使用は視界不良や跳弾のリスクを伴い、冬山での罠の設置・見回りには膨大な労力と命がけの危険がつきまとう。野生動物管理・環境行政が直面しているのは、机上の制度設計と過酷な現場実態との間に横たわる、あまりにも深い溝である。