なぜゴールドシップは変顔を見せる?競馬界の伝説が放つ奇跡の真相
ゴールドシップの気まぐれに最も深く寄り添ったのが、主戦を務めた内田博幸騎手と、担当の今浪隆利厩務員である。
皐月賞での伝説的な「ワープ」をはじめ、豪快な捲りで数々の大舞台を制した内田騎手は、その爆発的なパワーと同時に、いつどこへ飛んでいくか分からない危うさを常に手綱越しに感じ取っていた。レース前のパドックで見せる不敵な面構えや、ゲート裏での不穏な視線。力でねじ伏せることなど不可能な猛獣と心を通わせる作業は、まさに命がけの対話だった。
一方で、厩舎で寝食を共にした今浪厩務員に対しては、まるで甘えん坊の子供のような一面を見せた。威嚇するように歯を剥き出しにして見せながらも、今浪氏が近づくとすっと表情を和らげる。気を許した相手にだけ見せる悪戯っぽい表情は、猛烈な気性の裏に隠された繊細な知性の証左でもあった。二人の深い絆があったからこそ、あの怪物的な走破力と愛嬌あふれる素顔が共存し得たのだ。