ジョブズ最後の言葉「Oh Wow」の真相|拡散された偽遺言と臨終
スティーブ・ジョブズが息を引き取ったのは、2011年10月5日、カリフォルニア州パロアルトにある自宅でした。最期の瞬間に立ち会った実妹であり作家のモナ・シンプソン(Mona Simpson)が、同年10月16日にスタンフォード大学の記念礼拝堂で行われた追悼式で読み上げ、のちに米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した追悼演説によって、臨終の克明な様子が世界に明かされました。
モナの手記によると、ジョブズの呼吸は前日の火曜日から変化し、意識が混濁するなかでも家族への深い慈愛を見せていたといいます。息を引き取る直前、彼はまず愛妻ローレン・パウエル・ジョブズの目をじっと見つめ、続いて3人の子どもたち(リード、エリン、イブ)を一人ひとり見つめ直しました。そして最後に、家族の頭上を越えた背後の空間へと視線を移し、独特の感嘆を込めて次の言葉を3度繰り返しました。
「OH WOW. OH WOW. OH WOW.(オー・ワウ、オー・ワウ、オー・ワウ)」
これが、現代のテクノロジー史を塗り替えた天才が遺した、正真正銘の「最後の言葉」です。モナ・シンプソンはこの時の様子を「何者にも邪魔されない、未知の世界への旅立ちを目撃しているかのようだった」と述懐しています。死の恐怖に怯えるのではなく、目の前に広がる何かに対して、生前の彼が革新的なプロトタイプを目にした時と同じような純粋な驚嘆の声を漏らして旅立ったのです。