アイス一斉値上げはカルテルか?公取委の視線と価格高騰の真相

アイス一斉値上げはカルテルか?公取委の視線と価格高騰の真相とはどんな影響があるのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

では、なぜ各社はそこまで一斉に価格を改定せざるを得ないのでしょうか。明治・森永・グリコなどのアイス値上げを突き動かしているのは、一過性の要因にとどまらない深刻なアイスの価格高騰の原因です。アイスクリームの原価を構成する要素が、世界規模で同時に跳ね上がっています。

第一の要因は、主原料である乳製品(生乳・脱脂粉乳・バター)および砂糖の相場上昇です。国内の酪農家を取り巻く飼料価格の高騰は生乳取引価格の引き上げを余儀なくさせました。さらに追い打ちをかけたのが、チョコレートコーティングやチョコアイスに不可欠なカカオ豆の歴史的相場高騰(いわゆるカカオショック)です。主要生産国である西アフリカの天候不順や病害によりカカオ価格は記録的な水準をつけ、メーカーの収益を直撃しました。

第二に、原油高と円安に伴う包装資材(プラスチックカップや外装フィルム)のコスト増、そして製造工場の電気代・ガス代の上昇です。アイスクリームは製造から保管、輸送に至るすべての工程で氷点下の徹底した温度管理(マイナス18度以下)を要するため、エネルギーコストの上昇に対する感応度が極めて高い商品です。

第三に、物流業界の労働力不足に伴う「コールドチェーン物流費」の上昇が挙げられます。冷凍車の手配コストやドライバーの労務費改善は避けて通れない課題であり、これらの複合要因がアイスクリームの値上げ理由の根幹となっています。メーカー各社の企業努力だけでは吸収しきれない限界点に達した結果が、近年の断続的な価格改定へとつながっています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。