なぜ逆さま?バオバブの木の生態と星の王子さまの謎・枯死の真相
国際学術界に衝撃を与えたのが、学術誌『Nature Plants』などに掲載された国際研究チーム(ルーマニア・バベシュ・ボヨイ大学のエイドリアン・パトルット教授ら)の大規模調査報告です。2005年以降、アフリカ南部に生息していた樹齢1,000〜2,500年に達する最古級の巨大バオバブ13本のうち8本、そして最大級の個体6本のうち5本が相次いで一部倒壊または完全枯死したという事実が公表されました。
ジンバブエの象徴であった「パンケ樹(Panke tree・樹齢約2,450年)」や、ナミビアの「ホルビス樹(Holboom)」、南アフリカの「プラットランド・バオバブ(サンランド・バオバブ)」など、数千年の風雪を耐え抜いた歴史的巨木が、わずか十数年の間に相次いで倒壊した背景には何があるのか。調査データから以下の決定的な真相が判明しています。
枯死の原因は単一の病原菌や害虫ではなく、地球温暖化に伴う急激な気温上昇と極度の長期干ばつです。バオバブの巨大な幹は木質組織が少なく、大半が水分を含んだ生細胞の「水圧(膨圧)」によって巨体を物理的に支えています。度重なる異常気象で土壌水分が枯渇すると、幹内部の保水量バランスが崩壊します。自重を支えきれなくなった巨木は、外側から枯れるのではなく、内部から突然自重で崩れ落ちるように粉砕・倒壊してしまうのです。
現地保護団体や衛星モニタリングによる2026年時点の最新状況においても、生息地の乾燥化傾向と降雨パターンの偏向は依然として続いています。マダガスカルでは気候危機に加えて、焼畑農業や違法伐採による生息域の分断が深刻化しており、地域コミュニティ主導による植林保護区の設置や、国際支援によるDNA保存プロジェクトが急ピッチで進められています。