『少年の日の思い出』あらすじ解説!蝶を潰した結末と名言の深層心理
本作は、物語の中に別の物語が語られる「額縁構造(枠物語)」を採用しています。ある晩、蝶の標本を眺めていた語り手の「私」のもとを友人の「客」が訪ね、少年の頃の苦い過ちを一人称の「僕」として告白し始める構造です。
主人公の「僕」は、かつて蝶や蛾の採集に夢中になっていた少年でした。近所には、非の打ちどころがない模範的な少年エーミールが住んでいます。ある日、エーミールが滅多に見られない貴重なクジャクヤママユを蛹から羽化させたという噂を耳にした「僕」は、たまらない好奇心と欲望に駆られて彼の部屋へと忍び込みます。
部屋の展翅板(てんしばん)に留められた美しいクジャクヤママユを目にした瞬間、「僕」の自制心は崩壊します。衝動的に蝶をポケットに入れて盗み出したものの、階段を降りる途中で激しい良心の呵責に襲われます。「引き返して元に戻そう」とポケットから取り出したとき、無惨にも羽は潰れ、触角はもぎ取られていました。自室に戻って母に罪を打ち明けた「僕」は、意を決してエーミールのもとへ謝罪に向かいますが、そこで待っていたのは怒りよりも恐ろしい「氷のような冷笑」でした。