氷に塩でマイナス20度?温度が急降下する科学の仕組みと裏ワザ
温度が劇的に低下するプロセスを理解するには、分子レベルで起きている2段階のステップを整理することが近道です。
ステップ1:凝固点降下によって0度以下でも氷が溶ける
純粋な水は0度で凍り、0度で溶けます。しかし、水に塩(塩化ナトリウム)などの物質が溶け込むと、水分子同士が規則正しく並んで氷の結晶を作る邪魔をされます。その結果、水が凍る温度(凝固点)が0度よりも大幅に低くなります。これが「凝固点降下」と呼ばれる現象です。
食塩水になるとマイナス数度やマイナス十数度にならなければ凍れなくなるため、本来なら0度を保ったまま固まっているはずの氷が、「この温度では水でいなければならない」とばかりに猛烈な勢いで溶け始めます。
ステップ2:周囲から熱を奪い去る「融解熱」と「溶解熱」
氷が水へと状態変化(相変化)する際には、周囲の空気や液体から莫大な熱エネルギーを奪い取ります。この熱を「融解熱」と呼びます。水1グラムが溶けるだけで、約334ジュールの熱が周囲から奪われます。
凝固点降下によって氷が強制的に溶かされると、周囲から次々と融解熱が奪われるため、温度は0度以下へと急降下していきます。さらに、塩が水に溶ける際にもごくわずかな熱を奪う「溶解熱(吸熱反応)」が発生し、温度降下に拍車をかけます。この2つの相乗効果こそが、氷と塩を混ぜたときに極低温が生まれる正体です。