認知症になりやすい人の口癖とは?「あれ」「めんどくさい」の危険信号
介護現場の第一線や、SNS・掲示板などで家族から寄せられる手記を精査すると、診断を受ける数か月〜数年前から、明らかな高齢者口癖変化が観測されている。その違和感は、教科書的な記憶テストの数値よりも遥かに早く、日常の何気ないやり取りの中に滲み出る。
都内在住の50代女性は、同居する実母(当時74歳)の異変を次のように振り返っている。
「昔は社交的で手料理が得意だった母が、ある時期からスーパーの買い物から帰るたびに『今日はめんどくさいからお惣菜でいいでしょ』『もう年だから何もしたくない』と言うようになりました。最初はただの愚痴だと思っていたのですが、次第に冷蔵庫の中に同じマヨネーズが4本も並び、味付けの濃さが異常になり……。あの『めんどくさい』は、料理の手順が頭の中で組み立てられなくなっていた母の悲鳴だったのだと、後になって気づきました」
また、大手相談コミュニティや介護ブログに寄せられた当事者家族の声を分析すると、初期段階で頻出する言葉には明確なグラデーションが存在することがわかる。
- 「誰かが財布を触った」「引き出しを動かしたのは誰?」:しまい忘れを認められず、外部に原因を求める被害念慮の口癖。
- 「最近の若い人はなってない」「昔はこうじゃなかった」:新しい環境や機械の操作に適応できず、過去の成功体験に固執してプライドを守ろうとする自己防衛。
- 「どうせ私なんか邪魔なんでしょ」:理解力の低下による疎外感から生じる自嘲と被害者意識。
これらの言葉は、単なる性格のねじれではない。衰えゆく脳のなかで、急激に狭まりつつある世界と必死に戦い、辻褄を合わせようとする本人の防衛本能が口癖となって吹き出しているのだ。