怪演の最高峰・中村嘉葎雄の軌跡!『楢山節考』から最新配信作まで
彼の演技キャリアにおいて、ひとつの大きな到達点となったのが、名匠・今村昌平監督による映画『楢山節考』(1983年)である。カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞したこの伝説的作品で、彼は姨捨山の伝承が残る貧しく過酷な村で生きる男・辰平を熱演した。
撮影現場はまさに「極限」の一言に尽きたという。長野県の過酷な大自然のなか、春の芽吹きから冬の猛吹雪まで本物の四季を待ちながら進められた泥まみれのロケーション。今村監督の執念とも言えるリアリズムに応えるため、キャスト陣は極限状態まで追い込まれた。そのなかで彼が見せた、母への葛藤と生きることへの情念を漲らせた迫真の怪演は、海外の映画人からも惜しみない絶賛を浴びることとなった。