「左様」をビジネスで使うと失礼?時代劇との決定的な違いと真実
言葉のルーツを辿ると、その成り立ちは極めて合理的だ。岩波書店の『広辞苑』を引くと、「左(さ)の様(よう)」、すなわち「その通り」「その状態」を指す連語が縮まったものと定義されている。中世から近世にかけて武士階級や町人の間で広く浸透し、相手の言葉を肯定する際の万能な返答として機能してきた。
明治期に入ると、言文一致運動の渦中で知識人たちもこの表現の扱いに腐心した。かの福沢諭吉も『学問のすすめ』をはじめとする著作や演説の中で、封建的な主従関係を想起させる形式的な口調から、より平易で論理的な近代日本語への脱皮を試みている。身分制度の解体とともに、仰々しい言葉遣いは徐々に整理されていったが、「左様」という響きだけは独特の重厚感を保ち続けた。