「おならの身代わり」で大金を稼ぐ?江戸時代の奇職・屁負比丘尼の真実
屁負比丘尼という言葉の意味は、文字通り「放屁(おなら)の責任を背負う比丘尼(尼僧姿の女性)」を指します。江戸時代において、身分の高い武家の姫君や大商人の令嬢が他人の前でおならをしてしまうことは、単なる恥ずかしさにとどまらず、家名の尊厳を傷つけ、ときには縁談の破談にまで直結する重大な失態でした。
そこで考案されたのが、粗相の瞬間に間髪を入れず「今の粗相は私でございます」と名乗り出る身代わりの存在です。この機転によって、その場にいた周囲の視線と嘲笑はすべて身代わりの女性へと集まり、お嬢様の尊厳は完全に守られるという仕組みでした。
名前に「比丘尼」と付く由来には、当時の世相が関係しています。江戸時代には頭を丸めたり尼僧風の衣装をまとったりして世俗の雑務や接客、芸事を行う「世俗比丘尼」が多数存在していました。彼女たちは出家者の体裁を取っていたため身分的な制約をすり抜けやすく、屋敷への出入りや付き添い役として都合が良かったことから、この奇妙な身代わり役も比丘尼の姿をした女性たちが担うようになったとされています。