Jtロシア事業の真実:撤退論争と株価を左右する業績リスクの裏側
「完全な離脱」か「限定的な統制」か。JTの経営陣が突きつけられている選択肢は、単純な二者択一ではない。社長の寺畠尚史氏をはじめとする経営首脳陣は、事業を独立した現地子会社として分社化・再編する構想を模索しながら、複雑な規制の網目を慎重に縫い進めてきた。
事業の単純な売却は容易ではない。ロシア政府が課す厳格な資産売却規制や外貨持ち出し制限が、速やかな撤退の前に大きな障壁として立ちはだかるからだ。強引な低価格での売却は株主利益を損なう恐れがあり、一方で事業を放置すれば現地資産が実質的に接収されるリスクもはらむ。結果として、本社からの統制を切り離しつつ事業実体を存続させるという、難度の高い事業再編モデルが検証されている。