消えゆくミナミの迷宮・久富千日プラザの変遷と知られざる再開発劇

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この特異な空間を語る上で欠かせないのが、創業者である久富達夫の存在だ。戦後の復興期から高度成長期にかけて、千日前の土地にいち早く商業の灯をともし、雑多な人々を受け入れる器を作り上げた。その先見の明は、単なる不動産経営の枠を遥かに超えていた。

ビルの設計思想には、当時の合理主義とどこか泥臭い人間味が同居している。近年、若い世代や外国人観光客の間で巻き起こった昭和レトロカルチャーのブームによって、ビル内の純喫茶や個性的なミニシアター、バーが再評価されたのは記憶に新しい。久富達夫が遺した「人が集まり、交わるカオス」は、デジタル化された現代において、かけがえのない生の体験を提供する場として機能し続けてきた。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。