『ヒカルの碁』作画はなぜ神域なのか?小畑健の画力進化と緻密な裏側
作画の美しさを語る上で見逃せないのが、ほったゆみによる骨太な原作プロットと、女流棋士・梅沢由香里(現・吉原由香里)による厳格な囲碁監修の存在です。漫画に登場する棋譜はすべて実際のプロ棋士や歴史的な名局をベースに構成されており、一手ごとの盤面描写に一切の妥協がありませんでした。
作画担当の小畑健は、碁石の配置や角度、盤上に落ちる指の影に至るまで、写真資料や監修資料を完璧に再現しました。碁盤の木目や星の位置、黒石と白石の光沢の違いまでもが極めて正確に描き込まれていたため、プロ棋士が読んでも「どの対局の何手目か」が一目で判別できるほどのリアリズムを獲得していたのです。
「静のスポーツ」である囲碁において、駒を打つ手先の緊張感やバチリと響く打音の迫力を絵だけで伝達できたのは、この徹底した考証と妥協なき作画の融合があったからにほかなりません。