目の充血と鈍痛は上強膜炎?自然治癒の真相と受診目安を徹底検証
日常の診察現場において、患者自身が最も混乱するのが「ただの結膜炎なのか、上強膜炎なのか、それとも危険な強膜炎なのか」という鑑別です。外見上の赤みだけでこれらを正確に見分けることは、眼科専門医であっても細隙灯顕微鏡(スリットランプ)を用いなければ容易ではありません。
最大の分岐点となるのは「炎症が起きている深さ」と「痛みの質」です。結膜炎は表層の血管が拡張するため鮮やかな赤色を呈し、痒みや目やにが主徴となります。一方、上強膜炎はそれより深い血管が拡張するためやや紫がかった赤色になり、充血部位を押すと軽い痛みが生じます。さらに深部の強膜自体が破壊される強膜炎に至ると、眼球の奥から頭部へ突き抜けるような激しい疼痛が生じ、夜間に痛覚で目が覚めるほどの深刻な事態に陥ります。
眼科医は診察時、血管収縮作用のあるフェニレフリン(ネオシネジン)点眼薬を用いてテストを行うことがあります。結膜の血管は点眼後すぐに退色して白くなりますが、深部にある上強膜の血管は退色しにくいという生理学的反応を利用し、上強膜炎と結膜炎の見分け方を客観的に判断しています。