2026年、なぜ「柏原芳恵」のヴィンテージ写真集が神保町とSnsで異常高騰しているのか? 昭和が生んだ“至高の艶”を追う
買えないのだ、いまや。棚に並んだ瞬間に消えていく。
老舗ヴィンテージ書店の店主は、カウンター越しに苦笑混じりでそう明かした。ネットオークションやフリマアプリでの競り合いはさらに熾烈だ。数年前まで数千円で流通していた美本が、今や海外バイヤーや若いフォトグラファーの参戦によって跳ね上がり、海外のコレクターズ市場へも流出している。昭和アイドルの印刷物は数あれど、ここまで右肩上がりの相場を維持し続ける例は極めて珍しい。
理由の一端は、保存状態の良い初版の希少化にある。当時のグラビア雑誌や大判写真集は、現在のような高精細デジタル印刷ではなく、重厚な特色インキと職人の製版技術で刷り上げられていた。そのインキの匂い、紙の重み、そして経年によってわずかに深みを増したトーンそのものが、複製不可能な美術的価値として取引されている。