マインドフルネスやってはいけない人の特徴|逆効果で症状悪化する真相
精神疾患の中でも、トラウマ(PTSD・複雑性PTSD)やパニック障害を抱える者に対するマインドフルネスの適用は、海外の臨床現場において最大の論争点であり続けている。トラウマ研究の第一人者であるデイビッド・トレリーベン(David Treleaven)博士は、その著書『トラウマ・インフォームド・マインドフルネス』の中で、安易な瞑想の導入がいかに患者の自律神経系を破壊するかを克明に告発した。
トラウマを抱えた人間の神経系は、常に「闘争・逃走反応」あるいは「凍りつき反応(シャットダウン)」の極限状態を往復している。精神医学では、人が穏やかに思考し感情を処理できる安全なゾーンを「耐性の窓(Window of Tolerance)」と呼ぶ。瞑想によって外的な刺激を遮断すると、トラウマの生存者はこの耐性の窓から一瞬にして放り出され、過去の加害体験や恐怖反応の渦へと呑み込まれてしまう。
精神科医が警鐘を鳴らすもう一つの要因は、「呼吸」というアンカー(意識を留める錨)の選択ミスだ。一般的なマインドフルネス指導では「呼吸に注意を向ける」ことが基本とされる。だが、パニック障害の患者にとって呼吸は「過呼吸を起こすかもしれない最も恐ろしい身体反応」そのものである。呼吸を意識すればするほど呼吸筋が緊張し、血中の二酸化炭素濃度が狂い始め、「息が吸えない」という本物の発作を人工的に作り出してしまうのだ。
精神科医の診察現場からは、「流行に乗ってヨガスタジオの瞑想クラスに通い、パニック発作を再発させて来院する患者が目立つ」という証言が後を絶たない。マインドフルネスを始める前に、自分の心身が「耐性の窓」の内側にあるかどうかを判定する医学的スクリーニングが絶対に不可欠なのである。