大河『西郷どん』から8年、鈴木亮平が切り拓いた「肉体派怪優」の到達点――なぜあの泥臭い英雄像は2026年の今も色褪せないのか
作品を語る上で欠かせないのが、大久保一蔵(利通)を演じた瑛太(現・永山瑛太)との火花散る芝居合戦だ。
幼少期からの無二の親友でありながら、近代国家の樹立という理想を前に、冷徹なリアリストへと変貌していく大久保。対して、取り残される士族たちの情念を捨てきれない西郷。ふたりの視線が交錯するシーンの静寂には、台詞以上の殺気が漂っていた。
互いにリスペクトを抱きつつも、役柄として完全に決裂していくプロセス。リハーサルの段階から張り詰めていたというふたりの緊張関係は、最終盤の西南戦争において、もはや芝居の枠組みを逸脱した純度の高い悲壮美へと昇華された。