『紅の豚』名言の深層!豚になった理由と大人を魅了する台詞の真相
『紅の豚』の魅力を重層的なものにしているのは、ポルコを取り巻く女性キャラクターたちの放つ言葉の力強さです。酸いも甘いも噛み分けた大人の女性であるマダム・ジーナと、汚れを知らない情熱と才能に溢れた少女フィオ・ピッコロ。この対照的な二人のヒロインが紡ぐ台詞は、作品に深い陰影を与えています。
マダム・ジーナの名言としてファンの記憶に刻まれているのが、昼下がりのテラスで私立探偵に語った「賭け」の告白です。
「私がこの庭にいる時、その人が訪ねてきたら、今度こそ愛そうって賭けをしてるの。でもあの人、夜にしか来ないのよ。店の方へしか来ないの」
幼馴染であり、互いに想い合いながらも決して一線を越えようとしないポルコとジーナ。大人の抑制された距離感と、じっと待ち続ける女性の切ないプライドが、この瀟洒な台詞に宿っています。また、不穏な空気漂う酒場で空賊たちをピシャリと一喝する「ここではね、ワインを飲むものだけが人間なのよ。戦争ごっこはおよし」という言葉には、戦争で男たちを奪われ続けた彼女ならではの毅然とした怒りが滲み出ています。
一方、17歳の飛行艇設計技師フィオの名言は、絶望と皮肉にまみれた大人たちの世界に爽やかな風を吹き込みます。ポルコの愛機サボイアS.21を修理し、空賊連合との決闘の前夜、彼女はポルコに向かってまっすぐに語りかけます。
「いいパイロットにはみんな、いい翼を与えてやりたいの」
さらに、卑劣な手段でポルコを追い詰めようとする空賊たちに対し、「飛行艇乗りの誇りはどこへ行ったの!」と堂々と啖呵を切る場面は、作中屈指の名シーンです。汚れなき情熱で凝り固まった男たちのプライドを揺さぶり、ポルコの閉ざされた心を開いていくフィオの存在は、まさに未来への希望そのものでした。
また、ポルコの好敵手として登場するアメリカ人パイロット、ドナルド・カーチスのセリフも見逃せません。「大統領になってホワイトハウスに入るんだ」「惚れたぜ、ジーナ!」と屈託なく野心と欲望を露わにするカーチスは、自意識の迷宮に囚われたポルコとは対極にある「若きアメリカの資本主義的バイタリティ」を象徴しており、二人の殴り合いの決闘にカラッとした喜劇の爽快感をもたらしています。