二葉亭四迷の代表作『浮雲』とは?言文一致と近代文学の原点を解剖

二葉亭四迷の代表作『浮雲』とは?言文一致と近代文学の原点を解剖の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

四迷が『浮雲』の執筆へと突き動かされた背景には、文学界の巨人・坪内逍遥との出会いがありました。逍遥は1885(明治18)年に発表した評論『小説神髄』の中で、「小説の主眼は人情を描くことにあり、世態風俗の描写がこれに次ぐ」と説き、写実主義の重要性を日本で初めて体系化しました。

当時、東京外国語学校でロシア文学に傾倒していた四迷は、逍遥の思想に深い共鳴を覚え、親交を結びます。しかし、逍遥自身が提唱した理論を自作小説で完全に具現化しきれずにいたのに対し、四迷はロシア文学仕込みの徹底したリアリズムで『小説神髄』の理論を遥かに超える作品を構築しました。

『浮雲』の第一編は、無名の四迷の名ではなく「坪内逍遥 閲」として世に出されました。偉大な師の看板を借りなければ出版できなかった悔しさと、自らが目指す純粋なリアリズム文学と世俗のギャップに、若き四迷は激しい精神的葛藤を抱え続けることになります。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。