無限城三部作の熱狂の中で振り返る――『鬼滅の刃』生存と絶望の系譜、全滅の歴史をたどる
十二鬼月の中でも、百年間メンバーが変わらなかったとされる「上弦の鬼」たち。彼らの強さは次元が違う。しかし、彼らが読者に与える衝撃は、その戦闘力だけではない。彼らがかつて人間であり、社会の底辺や理不尽な運命に抗った末に鬼になったという事実だ。
例えば、上弦の参・猗窩座(あかざ)の過去は、涙なしには語れない。愛する者をすべて失い、守るべきものを失った絶望の果てに、彼は強さだけを求める怪物となった。上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)が抱いた、天才の弟に対する狂おしいほどの嫉妬心もまた、極めて人間臭い感情だ。彼らの散り際は、悪の滅亡という爽快感よりも、深い喪失感を私たちに残す。