糸を撚る科学と技術の全貌|強度を生む仕組みとS・Z撚りの見分け方
撚りの方向と並んで糸のキャラクターを決定づけるのが、単位長さあたりに何回の回転を加えたかを示す「撚り数(回転数/m:T/m)」です。撚り回数の加減によって糸は「甘撚り」から「強撚」まで幅広い表情を見せます。両者の物性的差異は、最終製品の用途や肌触りを180度変えてしまうほど劇的です。
甘撚りと強撚の違いを端的に言えば、「柔軟性と吸水性を極限まで高めるか」、それとも「清涼感と耐摩耗性、シャリ感を追求するか」という設計思想の違いにあります。特に強撚糸の特徴としては、繊維が極限まで密着することで毛羽立ちが抑えられ、肌に触れた際の接触冷感や、シワになりにくい反発力(ドレープ性)が生まれる点が挙げられます。日本の伝統織物である「ちりめん」や「お召」の独特なシボ(凹凸)も、この強撚糸が水分を含んで元に戻ろうとする強烈なトルクを利用して生み出されています。