鉄フライパンの正しい洗い方|洗剤Ngの真相とプロ直伝の焦げ落とし術
鉄のフライパンを扱う上で最も頻繁に議論されるのが、「台所用洗剤を使って洗ってはいけない」というルールの真偽です。結論から言えば、鉄フライパン洗剤NGの理由は迷信ではなく、鉄の表面に形成される微細な化学構造に直結しています。
鉄フライパンの表面には目に見えない無数の微細な孔(ピンホール)が存在します。使い込むにつれて、加熱された油が酸素と結びついて酸化重合を起こし、滑らかで強固な油の重合皮膜(油膜パティナ)を形成します。この皮膜こそが食材のこびりつきを防ぎ、金属をサビから遮断する天然のコーティングとして機能しているのです。
現代の家庭用食器用洗剤には強力な界面活性剤が含まれており、油分を微粒子化して水に溶け込ませる能力を持っています。せっかく時間をかけてフライパンの微細孔に定着させた保護皮膜まで根こそぎ洗い流してしまうため、洗剤の使用は基本的に推奨されません。これが、プロの料理人や道具鍛冶が口を揃えて鉄フライパンお湯のみで洗う理由です。
ただし、絶対に洗剤が使えないわけではありません。魚の生臭い脂や香辛料の強い香りが残ってしまった場合、あるいは長期間放置して油が酸化・変質してしまった場合には、中性洗剤で一度リセットし、改めて火にかけて油をなじませ直せば問題ありません。金属そのものが壊れるわけではないため、神経質になりすぎる必要はないのです。