諦めたらそこで試合終了ですよは何巻何話?安西先生の真意と誕生秘話
スラムダンクの物語において、安西先生がこの言葉を発した決定的な場面は生涯で2度存在します。1度目は三井寿の運命を決定づけた過去の回想、そして2度目は絶対王者・山王工業を相手に絶望的な点差をつけられた現在進行形の激闘の中でした。
1度目の登場:単行本第8巻・第69話「WISH」(三井寿の中学時代)
初出となったのは、コミックス単行本第8巻・第69話「WISH」(完全版第6巻、新装再編版第7巻)です。湘北バスケ部を襲撃した三井寿が、体育館に現れた安西先生の姿を見て涙を流し「バスケがしたいです……」と本音を吐露する名場面の直前、三井の中学時代の記憶として描かれました。
当時、武石中学のエースだった三井は、神奈川県大会決勝の横田中学戦で残り時間わずか、相手にリードを許し絶望的な状況に追い込まれていました。コート外へ転がったルーズボールを追う気力を失いかけた三井の前へ、来賓として訪れていた白髪の穏やかな紳士・安西先生が現れます。ボールを拾い上げ、三井に優しく手渡しながら口にしたのが次のセリフでした。
「最後まで…希望をすてちゃいかん あきらめたら そこで試合終了ですよ」
この言葉に魂を揺さぶられた三井は奇跡的なインターセプトから逆転のブザービーターを沈め、チームを優勝に導くとともに大会最優秀選手(MVP)に輝きます。そして、名門校からの熱烈なスカウトをすべて断り、「安西先生への恩返し」を胸に無名の公立・湘北高校へ進学する決意を固めることになります。
2度目の登場:単行本第27巻・第241話「4POINTS」(山王工業戦の桜木花道)
2度目にこのフレーズが響き渡るのは、インターハイ2回戦を描いたクライマックス、コミックス単行本第27巻・第241話「4POINTS」(完全版第21巻、新装再編版第18巻)です。
後半、高校バスケ界の頂点に君臨する山王工業のゾーンプレスと猛攻により、湘北は20点以上の大差をつけられます。静まり返る会場、打ちのめされるチームメイトたち。ベンチに下げられた主人公・桜木花道に対し、安西先生は冷徹なまでの洞察眼と静かな熱情を湛えてこう語りかけました。
「私だけかね…? まだ勝てると思っているのは…」「あきらめたら そこで試合終了ですよ…?」
中学時代の三井にかけた「諭すような断定」とは異なり、花道に対しては「語尾に疑問符(…?)」が付されています。これは花道の内なる闘争心に火をつけるための鋭利な問いかけであり、この直後、花道は観客席の記者席によじ登り、「ヤマオーはオレが倒す!!」と宣言。オフェンスリバウンドを一手に引き受ける奇跡の反撃へと繋がっていきます。