覚醒の2026年、杜の都に鳴り響く背番号24の快音――「未完の天才」黒川史陽が楽天の動脈へと脱皮した理由
プロの壁は高かった。ファームでは毎年のように3割近い打率を残し、イースタン・リーグの打撃部門で上位を賑わせながらも、一軍に上がれば一瞬の気の緩みや変化球のキレに翻弄される。首脳陣やファンから「二軍の帝王」というありがたくないレッテルを貼られた時期は、彼にとって耐え難い屈辱だったはずだ。
ブレイクスルーのきっかけは、皮肉にも「結果を欲しがる執着」を手放したことだった。グリップを握る手の力を抜き、インパクトの瞬間だけに100%の出力を集中させる。全身の連動性を極限まで高めたことで、一軍投手の150キロを超える剛速球に力負けしないスイングスピードを手に入れた。壁にぶつかり、泥水をすするように自らの打撃を解体・再構築した数年間が、現在の揺るぎない土台となっている。