放送20周年の静かな狂気——『仮面ライダーカブト』の「ワーム」はいかにして特撮史上に残る最高の恐怖となったのか

放送20周年の静かな狂気——『仮面ライダーカブト』の「ワーム」はいかにして特撮史上に残る最高の恐怖となったのかにまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

「姿を真似る怪人」自体は、特撮の歴史において決して珍しいアイデアではない。しかし、ワームの恐ろしさは「記憶と精神の完全コピー」に潜んでいた。ワームは人間を殺害し、その人物の記憶や感情をそのまま引き継いで人間社会に溶け込む。

自分が人間だと思い込んだまま生活を続けるワームすら存在した。自分が本物だと信じて疑わない怪人が、ふとした拍子に鏡に映る己の醜い正体を知り、狂気に陥る。被害者遺族の悲しみも、本物の人間の記憶を持ったワームの葛藤も、すべてが重苦しいドラマへと昇華された。単なる善悪の二項対立をあざ笑うかのようなこの残酷な設定こそが、大人をも惹きつける劇的な毒薬となったのだ。

石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。