映画『悪の教典』ラストの真相!原作との違いと消えぬ狂気を追う
本作を語る上で欠かせないのが、蓮実聖司を演じきった伊藤英明の圧倒的な身体性と怪演だ。それまで正義感あふれる熱血漢やヒーロー役を多く演じてきた彼が、共感能力を完全に欠落させた冷酷無比なサイコパスへと変貌を遂げたインパクトは凄まじい。生徒からも同僚からも慕われる「ハスミン」という完璧な仮面の下に、感情の起伏をまったく持たない純粋な捕食者の瞳を潜ませていた。
クライマックスの虐殺シーンにおいて、蓮実は怒りや憎悪によって引き金を引いているのではない。ただ障害物を淡々と排除し、効率的に作業をこなすかのような軽やかさで命を奪っていく。この異常なまでの日常感と軽快さが、観客に強烈な居心地の悪さを突きつける。サイコスリラーの歴史において、ここまで美しく、かつ生理的な嫌悪と恐怖を同時に掻き立てるアンチヒーローは稀有な存在だ。