なぜ「ドはドーナツ」なのか?ペギー葉山『ドレミの歌』誕生秘話と真実
『ドレミの歌』の日本語詞といえば、冒頭の「ドはドーナツのド」があまりにも有名です。しかし、なぜ最初の音階にドーナツという洋菓子が選ばれたのか、その理由を知る人は多くありません。
1960年、本場ニューヨークのブロードウェイで舞台『サウンド・オブ・ミュージック』を鑑賞したペギー葉山さんは、劇中で歌われる『Do-Re-Mi』の陽気なメロディと教育的な構成に心を奪われました。「この素晴らしい歌を、日本の子どもたちにも届けたい」と強く願った彼女は、自ら日本語の訳詞を手掛ける権利を取り付けます。
日本に戻り、日比谷の日生劇場近くの喫茶室で作詞作業に取り掛かったものの、音階の「ド」から始まる言葉がなかなか浮かびませんでした。当時の日本の童謡にはないリズム感と音階の組み合わせに頭を抱え、煮詰まっていたペギー葉山さんは、気分転換に紅茶とドーナツを注文します。運ばれてきた丸いドーナツを見た瞬間、「ドはドーナツのドだ!」と電撃的なひらめきが走ったといいます。
子どもたちが大好きな甘いお菓子のイメージは、歌い始めのワクワク感を演出するのにまさに完璧でした。机上の理屈ではなく、日常のふとした瞬間に生まれた直感が、日本音楽史に残るキラーフレーズを生み出したのです。