鍵盤に宿る純正スウィングの魂:ジャズピアニスト菊池太光が紡ぐ即興美学と真価
菊池太光の演奏における最大の魅力は、ブレることのない確固たるタイム感と、明瞭な音粒で奏でられるシングルトーンのフレーズにある。バド・パウエルやウィントン・ケリー、シダー・ウォルトンといったジャズジャイアンツの系譜を引き継ぎつつも、自身のフィルターを通して現代的に昇華している。
左手と右手の完璧なダイナミクスとコンピング
彼のプレイスタイルを分析する上で外せないのが、フロント奏者を支える際のコンピング(伴奏)の巧みさだ。主張しすぎることなく、しかし管楽器奏者やヴォーカリストが心地よく即興を展開できるよう、絶妙なタイミングで打弦される左手の和音。それと対照的に、自身のソロパートでは右手が縦横無尽に鍵盤を駆け巡る。
倍音を豊かに含んだ温かみのあるトーンと、高速フレーズにおいても決して崩れない正確なタッチは、ライブパフォーマンスにおいて聴き手を惹きつけて離さない。